DIYしたい場所



14年前に、「家」を無くした。

その時、必死に探した「店舗つき物件」は、モロ、
「昭和」の建物だった。


一階部分は、店舗と狭い台所とお風呂場。二階は、ふすまで仕切られた
四つの日本間。フローリングではあったが。

店舗部分は、広いフローリングと、L字型に土間があり、先の住人は

[大家の息子」「宗教関係をやっている整体師」「小さな美容師」
などなど、個性豊かな面々が、この部屋からまた別の場所へと移って
いったようだ。

なぜ、それがわかるのか?

契約時の、不動産会社の社長に聞いたのが、「大家の息子」
彼は、クリーニング屋さんが病気で店を閉めた部屋に大型バイク
を置いている。

[宗教関係をやっている整体師」は、ひとつ空けた隣に移転して、
時々、外でお話しするようになったから。
今は遠くに引っ越して居なくなった。

[小さな美容師」は、私が「現状渡し」で借りた時から
不自然な位置に、シャンプーボールがすごく低い位置に
備わったままだったからだ。
つまりは、私が契約して入居するまで、前の賃貸人は
その、シャンプーボールを目障りなまま、放置していたのだ。

そのシャンプーボールが、まともな位置についていたのなら
私が使えたけれど、何せ、不自然に低いから、外して
危険物の日に持って行ってもらった。重かった。


店舗はフローリングだったから、掃除して、ワックスをかけ、
まともな位置に、シャンプーボールを取り付けてもらい
営業を再開した。

二階は比較的きれいで安心していたし、大家の息子がエアコンを
そのままで引っ越したので、ありがたく使わせてもらった。

何年か前には、居間の天井から「蛍光灯」が斜めに下がってきたので
あわてて下ろし、差し込み式の穴に別の丸形の電球を下げた。


一番ひどい場所が「お風呂場」だった。

ある日、シャワーを浴びていた娘の叫び声が響いて
あわてて行ってみると、風呂場の入口ドアの枠の木から、

「羽あり」が無数にわらわらと出てきていた。
まあね、昭和のふる〜〜〜〜い建物だもの。「白あり」くらい
いるよね。いる。うん。いる。仕方ないね。


そんなひどい有様の「お風呂場」ですが、

なぜ、そんなテナント兼住居に長年住んでいるのか?
疑問に思う方もいるだろうけど、実家の母親も言うけど

私がここで営業している限りは「金を生む建物」なのである。

いつかはここから出て、快適な「家」で暮らしたいけど
今しばらくはここでふんばる。

商売は「場所」なのだから。

だからこそ、あたたかくなったら、お風呂場の壁を白く塗り
少しでも、気持ちよく入れるお風呂にしたいのです。





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